カテゴリ: ギターの練習について

左手の押弦の仕方について動画を投稿しました。
初心者でこれから色々と覚えたいと思っている方、独学で頑張っている方、テクニックを見直したい方、演奏していて手が痛かったりすぐに疲れる人。
こんな人向けです。

是非ご覧になってみて下さい。


 ギターのコツ1として、ビブラートのことについて動画を作ってみました。
宜しければ見てみてください。

https://youtu.be/yYO00a93JdE

長年、演奏をしていて、姿勢のことをもっと深く理解したいと思うようになり、それは姿勢の重要性と同時に音が出される際の力の使い方をもっと知りたいと思うようになったことに起因しています。

学生だった頃、わずか半年ですが中国武術の教室に通ったことがありました。基本的な8つの構え方(立ち方)があり、その練習が非常に過酷で帰りの地下鉄では階段で膝がいつも笑っていました。
このことはご紹介にあたっては大したことではないのですが、この頃に聞いた言葉で次のようなものがありました。簡単にいうと力の発動のさせ方といえば良いと思いますが「沈墜・十字・纏絲(てんし)」というものです。当然、半年しか続かなかったのでそれらを体得できるはずもありませんでしたが、それからというもの、イメージとしてどういうものなのかを意識するようになりました。

20代半ばからバルエコ先生の下で基礎からやり直したのですが、バルエコ先生は姿勢や動きを教えるときに「太極拳のように」と言うことがよくありました。

私が小さいころから懇意にしていただいた方で、太極拳の師範の方がありました。大会等で中国にもよく行かれる方だったのですが、私がアメリカから一時帰国するたびに私の演奏姿勢を見て「まだ軸が出来てないね」とコメントしてくれていました。そしてアメリカから引き揚げてきてから久しぶりにまた姿勢を見てもらった際にようやく「軸が身についてきたね」と言ってくれたのです。

「まだ軸が出来ていない」ということを、分かりやすく目安として、あることをして教えてくださいました。
それは、立っている私を正面から押すというもの。
軸が出来ていなかった頃は、押されるとあっという間に後方に数歩下がってしまっていました。

それが「軸が身についてきた」と言われたときに同様に試したところ、全く下がらず安定しているのです。

実は、これが音の出し方にも非常に影響してきます。

これは単なる姿勢、立ち方だけでの例ですが、音を出すとき、また表現で色々な音色を出すときに、どのようにして力を発出するかで雰囲気も変わるし、遠達性の大小も作ることが出来ます。
遠達性は楽器にも左右されますが、楽器の遠達性を最大限に活用するには姿勢と身体の使い方は必須です。

芯の強い音や、深みのある音を出したいときは重心をどうするか、どのタイミングで重心を移動させるかも関係します。重視するのは、そういった事のコントロールと同時に、重心移動によりその力をどう指先まで伝えるかということ。

そこに、「沈墜・十字・纏絲(てんし)」という事が共通しているなと気がついてきました。

細かくはここでは書きませんが、深い音を出すには沈墜、張った音を出すときには十字、押し出す強さのある音が欲しい時は纏絲(てんし)など、これだけではなく色々な表現の音色を作り出すときに自在に出来るように目指すのですが、姿勢、体幹など整っていないとなかなか出来ないという事も分かってきました。

音楽カイロの本は、健康に音楽をするための健康本として導入していますが、究極としては、演奏表現を追求するための入り口というものでもあります。


演奏ではよく脱力を心がけるように言います。

私も、もちろんある程度の学習が進んできた人には脱力をアドバイスします。
大分前に現代ギターの記事の中で、脱力は第1段階と書きました。

姿勢や動作のことにかなり注力するように心がけているのですが、厳密にいうと修練においては、この脱力というのは第2段階になります。

第1段階 しっかりと弾くための基礎的な力をつける
第2段階 余計な力を除去する(いわゆる脱力を意識)
第3段階 表現に必要な力を効率よく発出する「沈墜・十字・纏絲(てんし)」

第1段階は、ギターをはじめて間もない方、あるいは音の小さい方にして頂く課題。
演奏で使う基本的な筋肉をある程度強くして置かなければ、脱力に向かうときに絶対量としてのエネルギーが小さくなってしまいます。
V8エンジンをV10エンジンにしておこう、というと分かりやすいでしょうか。

第2段階は、余計な力を極力減らすということ。厳密に言うと、余分な力を取り除き、効率良い力の使い方を覚える下地作りといいましょうか。

第3段階は、表現に必要な力を適材適所で効率よく、最大限に活かしていくということ。


中国武術の用語を挙げていますが、武術を音楽に繋ごうとしている訳ではありません。
ただ、概念は武術、スポーツはじめ、どのジャンルでも身体を使うことならば同じことが言えると思っています。

たとえば、武術でいうと、宮本武蔵の「五輪書」水の巻には、手のグリップのことを書いています。それは刀だけでく、野球のバット、テニスのラケット、ギターのネック、どれでも効率の良い力の使い方は共通しています。

また同書では、かかとを地につけることの大切さも書いています。 
踏み出す時は、かかとを地につけた状態からが速く強くうてると書いています。


スポーツでも、たとえばイチロー選手は、盗塁が上手いというのも、ダッシュ時にかかとから蹴り出しているからスタートが早いというのがあります。
かかとを地につけた状態から動き出すのと、そうでないのを比べると明らかに差が生まれます。
レーザービームと言われたあの遠投球も投げる動作で力を出す瞬間、かかとから蹴り出しているのが分かります。更には纏絲(てんし)でエネルギーの発出をしているように見えます。

ギターの演奏も同様で、出したい表現によっては、かかとだけに視点を置いてみても、つけているかどうかで音の重さ・深さなど変わってきます。
演奏しているとどうしても腕と手指に意識が集中しますが、深い表現をするにはやっぱり全身で行っているという事です。


そのために、背骨と骨盤をあるべき状態に保ち、深層筋と表層筋を整える。
健康を謳うその向こうには、表現を追求したいという気持ちが常に働いています。

ギターの基本練習として大切なものにスケール(音階)がありますが、ピーボディ音楽院メソッドの中から【5Major Scales】をYoutube動画でご紹介して解説しています。


動画は何度かに渡りますが、そのスケールの譜面を見ながら視聴できるようにこの投稿に画像をアップします。


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皆様のレッスンをする際、いまやっている曲をどの段階で「仕上げ」とするかは、各生徒さんの状態をみながら決めることが多いですが、では、習う立場では、どのように曲を仕上げていくかということについて、少し書いてみます。

ただ、「仕上げ」とはいっても、一つの曲に対してどの段階でとりあえずの「仕上げ」とするかは、色々とあります。

・初めて取り組んだ曲
・発表会やそのほか舞台で弾くために準備している曲
・以前弾いたことがあるが、改めて練習している曲

練習している曲はおそらく、上記のどれかの環境にあるかと思います。

初めて取り組む曲や以前弾いていた曲を改めて掘り起こすことの話は、また改めて書きたいと思いますが、今日は、上記2番目の点について。

先日、アマチュアの方がコンサートで演奏するのを全てではありませんが拝見しました。
レパートリーとしている「魔笛」の演奏の感想も演奏後に聞かれましたが、素晴らしい演奏でした。

そして、色々と話している中で、いろんなスタイルのアドバイスを各先生から教わっているが、解釈などが違ったりする部分はどうしてよいか分かりにくいということも話題として出ました。

私は、演奏する立場、表現する立場としてアドバイスをさせて頂きましたが、このようなことに関しての答えはシンプルです。

まず、このような悩みが出てくるという事は、やっていることも習っていることも相当熟練度を必要とするものなのですが、答えとしては、色々な教えを表現の引き出しだと考えておけば良いのです。

演奏する環境は、いつも異なります。

自宅、音楽教室、ホールなどなど・・
そして、季節や天候、自分の精神状態によっても環境は常に異なります。

食前と食後でも違いますしね^^

ですから、その時の環境に応じて微妙に表現を変化出来るように、常に「遊び」の部分、言い方を変えると「のりしろ」の部分があるようにしておくのです。

理論や楽典など基本的なものは必要ですが、最終的に舞台で表現をする時には、

「こうでなければならない!!」

というものは、考えすぎない方が良い結果が得られると思います。
大事なことは常に柔軟でいることですね。

もちろん、柔軟にするためには、きちんとした技術が不可欠です。
上達すればするほど、「練習」ではなく「修練」を心がけて、ですね。

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