今日は休みでのんびりとぶらぶらとショッピングモールで映画でも観ようと思いました。しかし、見たいと思う映画がなかったので、そういえば裁判所が近くにあると思いだし行ってみました。裁判を傍聴した記録の本などを読んでいたので、実際に刑事裁判というものを見てみようと。

水戸地方裁判所です。
入り口を入ってみると、今日行われている裁判の一覧を張り出してあります。ここは地裁・簡裁・家裁がありますが、地裁の裁判はどれも判決のみ。「強姦未遂」「覚せい剤取締法違反」と罪名が並んでいますがこの2つだけ。
簡裁の一覧を見ると、「窃盗」が2件ありました。しかも新件です。
簡裁の一覧を見ると、「窃盗」が2件ありました。しかも新件です。
午後1時半からの裁判を見ようと決めて傍聴しました。
裁判所は生活しているとなかなか関わらないところで、入りにくいのかなと思いますが、なんてことはない、誰でも見ることが出来るのですね。公開にしてきちんと裁いていますということなのだと思いますが。
傍聴席はわずか20席ほど。
しかも病院の待合ロビーみたいに長椅子です。
しかも病院の待合ロビーみたいに長椅子です。
田舎だからなのか簡裁だからなのか分かりませんが、傍聴人は私だけでした。
開始時間になると、傍聴席の扉が開き誰が入ってくるのかと思ったら、被告人が入ってきました。手錠と腰縄をしてあり、2人の刑務官が両脇を固めています。
入り口に近いところに座っていたので、この被告人入場は私にとっては衝撃でしたね。
入り口に近いところに座っていたので、この被告人入場は私にとっては衝撃でしたね。
だけど、被告人はそこらへんで犬の散歩でもしていそうな優しそうな顔つきなんです。
一体、この人がどんなことをしたのかなと思いながら被告人が座るところを見てました。
一体、この人がどんなことをしたのかなと思いながら被告人が座るところを見てました。
一同が席に着くと、裁判官が入ってきました。黒い法衣をまとっています。これには、どんな色にも染まらず裁くという意味があるそうです。
裁判官が入ってくると、書記官が
「全員起立」
「全員起立」
といいます。傍聴人も起立して礼をしなければなりません。
しかし、「着席」とは言いませんでしたね。
しかし、「着席」とは言いませんでしたね。
まずはじめに、裁判官によって被告人の氏名などの本人確認から始まりました。
氏名は・・・。
住所は・・・・不定で無職。
いわゆるホームレスです。
本籍は東京ということでした。
住所は・・・・不定で無職。
いわゆるホームレスです。
本籍は東京ということでした。
そのあと、検察官が起訴状を読み上げます。
「平成23年11月つくば市のサン●スで窃盗を行い、店長によって現認され取り押さえられた。店主は厳罰を望んでいる」
といった内容でした。
いわゆる万引きですね。
いわゆる万引きですね。
起訴状を読み上げた後に裁判官が質問
「この事実を認めますか?」
「はい、確かです。」
「はい、確かです。」
素直に自分の行ったことを認めています。
この被告人、昭和23年生まれですから、60歳を越えています。いい大人が、と思うのですが事件の内容が次の被告人の弁護士による質問と、検察官の質問などから明らかになっていきます。
裁判官が促して弁護人の質問です。尋問です。
「あなたはごみのついた袋を2つ持って、店内に入った。そして、棚にあったまぐろの缶詰を上着のポケットに入れて店外に出たんですね。」
「はい。」
「はい。」
缶詰ですよ。
検察官が読み上げていましたが、盗んだものは缶詰1個だったんです。被害額は358円。
358円ですよ。
358円ですよ。
あとで、弁護人の話によって分かるのですが、この窃盗によって2か月間拘置されているのですこの人。
だけど、疑問が湧きました。なぜ、缶詰なんだろう。
簡単に開けられる缶詰なのかな。
簡単に開けられる缶詰なのかな。
尋問によると、3-4日何も食べてなくて盗ってしまったそうです。
被告人は、中学を卒業してから、カレー店や塗装業の仕事をしていた。しかし、32-33歳くらいからホームレスになったということです。
弁護人の作戦は、被告人に反省しているという態度を取らせて情状を望むというものでしたが、弁護人の質問はまるで検察官のようでした。
「おなかが空いててもやってはいけないでしょう。なんでそんなことするんですか?」
「やってはいけないと思いましたが・・・」
「やってはいけないと思いましたが・・・」
「お店の人に迷惑がかかると思わなかったんですか?」
「どうしてもおなかが空いていたので。」
「どうしてもおなかが空いていたので。」
なんとも言い難いやり取りですね。
そして今後のことも聞いていきます。
そして今後のことも聞いていきます。
「今後はどうするつもりですか?」
「きちんと仕事をやりたいと思います。」
「きちんと仕事をやりたいと思います。」
「2度とやらないと誓いますか?」
「はい。」
「はい。」
素直で、反省しているんだな。だけど60過ぎて仕事を探すのは大変だろうなと思いました。
しかし、次の検察官からの尋問ですごいことが分かります。
しかし、次の検察官からの尋問ですごいことが分かります。
「あなたは前歴4回ありますよね」
え!被告人は初犯ではなかった。
もう癖になっているということなのでしょうかね。
もう癖になっているということなのでしょうかね。
さらに検察官の質問が続きます。
「ホームレスを15年以上していて仕事は出来るんですか?」
「はい」
「はい」
う~ん。現実的にはどうなんでしょうか。
「どんなことを?」
「以前やっていた、ペンキの仕事でも」
「以前やっていた、ペンキの仕事でも」
就労の意欲はアピールしています。
いろいろと注意をする形で検察官の質問は終わりました。
いろいろと注意をする形で検察官の質問は終わりました。
最後に裁判官からの質問です。
身寄りの有無について聞かれていましたが、独身で両親も兄弟もいないという答え。
次に私も気になっていたことを聞いてくれました。
「あなた、都内でホームレスだったんだよね。新宿で。なんでつくば市でこんなことをしたの?」
そうそう、都内のホームレスがなぜ茨城で窃盗をしたのかは、私も起訴状を聞いたときに疑問に思いました。
すると被告人、
「歩いてみようと思いまして」
なんと、新宿からつくばまで歩いて来たそうです。でも、なんで、と思いましたね。都内のほうが食にはありつける気がしますが・・。
あと、裁判官の質問で「ん?」と思ったこと。
「新宿の仲間にでも仕事を紹介してもらえないの?」
なんだか、この質問変ですよね。
被告人は、15年以上ホームレスで新宿にいたことは明らかになっています。
被告人は、15年以上ホームレスで新宿にいたことは明らかになっています。
その仲間って・・・
ホームレスじゃないの?
ホームレスじゃないの?
簡裁なので、一回のみで結審し、求刑が行われました。
求刑は「罰金20万円」
求刑は「罰金20万円」
非常に考えさせられる求刑ですね。
懲役にしたら被告人の就労意欲は削がれるだろうし。
だけど、ホームレスで仕事もないのに、どうやって罰金を払うんだろう。
検察官は、更生させることを検討している(具体的にはなんらかのプログラムみたいのかな)と言っていました。
次回が判決とのことでした。
検察官は、更生させることを検討している(具体的にはなんらかのプログラムみたいのかな)と言っていました。
次回が判決とのことでした。
悪いことをしているので当然なのですが、切なさも感じましたね。