今話題になっている映画「悪人」を観てきました。


 現代の社会を風刺したとても考えさせられる映画でした。

 
 殺人事件から内容を掘り下げられていく映画ですが、もちろん殺人は犯罪であるので悪いことには間違いないのですが、この映画で描いている意味は、単なる殺人という行為に焦点があるのではなく、その背景に広がっている人との間で薄れている絆について視聴者に対して問いかけているなと思いました。

 特に個人的に感じたことは、それぞれの人間の環境。また母親の子供に対する無関心。しかし祖母によって育てられた祐一(妻夫木聡)は、人との絆を裏切られながら、それでも人との愛情を大切にしようとする優しさ。

 そして、祐一が逮捕される瞬間に光代(深津絵里)に行った行為。逃亡の共謀者にさせないようにと、光代を護るという苦渋の選択には心打たれるものがありました。

 それからもうひとつのシーンは、最後に光代がタクシーの中で言った皮肉の一言。殺人により世間では悪人とされ、そう裁かれるべきであるが、実際のその人の本当の人間性は、世間の風評とは必ずしも一致しないということ。

 とにかく非常に複雑で何が良い、悪いとは言い切れないので、説明しにくいものがありますが、とても良い内容なので、これから観る方のためにも内容についてはここではふれない事としますのでご勘弁ください。

もう一度観たい映画です。